進学塾ism

お知らせ/コラム

講師ブログ

 こんにちは、高校数学担当の森蔭です。

 今回が今年度の講師ブログの最終回となりました。

 今年度のISM生の国公立大学受験は、323日の三重大学後期日程の合格発表をもって終了します。しかし、その後も各大学の補欠合格者の発表がつづきます。ISM生の大学入試はまだまだ終わりを迎えてはいません。

 今年の大学入試は新課程2年目の試験で、当初から共通テストの難化が予想されていました。さらに、その途中に行われた秋入試(学校型推薦選抜入試)で私立大学が多くの合格者を出したことから、冬の私大一般入試も競争激化が必至となりました。そして、迎えた共通テストは予想どおり難化し、第一志望の国公立大学の出願先を変更する受験生が増加しました。また、その影響で私立大学にも多くの受験生が追加出願したため、競争倍率が跳ね上がり、合格安全校が安全校では無くなるという事態に陥りました。出願調整をしたはずの国公立大学の二次試験も、安全志向により競争倍率が上がり、現実のボーダーラインは上昇したと思われます。ここまで見るかぎり、今年の大学入試も大荒れの結果となっています。それでもISMの生徒たちはこの荒波を乗り越えようとしています。暗黒の海原を必死に泳ぎ切ろうともがいています。

 先日、一人の受験生が国公立大学の入試結果を報告しに来てくれました。彼は高校入学前の春期講習からISMに通い続け、3年間ここで勉強をしてくれた生徒です。そんな彼は、彼だけは国公立大学前期入試が終わった2日後から、いつもと変わらずISMに来て、たった一人の自習室で中期・後期日程の準備をし続けていました。自身の合格発表の前日に発表される友人の合格報告に勉強の手を止めて心から喜び、不合格の知らせには自分事のように悲しんでいました。その甲斐あってか、前期日程で第一志望の国公立大学に合格を果たしました。そのとき、彼と一緒にお母様が来校され、私たちに3年間のお礼を仰ってくださいました。私にとってそれは身に余る光栄でした。この結果については全て彼自身の努力の賜物であるということと、彼がここに至るまでの3年間にどのような道のりを歩んで来たのか、もちろん昨日の彼の振舞についてもお伝えしました。そのときにお母様からいただいたお言葉は、私にとってこの上ない宝物になりました。お母様は次のようにおっしゃいました。

「先生、私はこの子が産まれたとき本当に嬉しかったです。でも今日の先生のお話で、この子の心がここまで成長したことを知り、あのときと同じくらい嬉しいです。」

 大学受験とは、ときに非情なものです。そこまでの過程や努力に関係なく、合格と不合格というたったそれだけに二分されてしまいます。しかし、受験生一人ひとりにはここに至るまでにそれぞれの道のりがあります。結果とは別の物語があります。私たちはそれらを決して忘れることはありません。そしてそのことを伝え続ける役割があるのだと思います。

 赤ん坊の産声は、みな「ラの音」だと言います。世界中の赤ん坊が同じ音で呼吸を始めるのに、その後それぞれがそれぞれの音を奏で、違う音へと変化していきます。大学受験という演奏会も、最後の一音にのみに価値があるのではありません。その演奏すべてに意味があるのだと思います。そして、その始まりの音がISMで奏でられたことを私は決して忘れません。

 わたしだって
 くずれた音程をもてあまし
 もう赤ちゃんなんかいないはずの
 妻の腹に耳をあてるのさ
 かみさまの
 ラの音がききたくて

                  (伊藤勝行)

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