進学塾ism

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講師ブログ

 こんにちは、高校数学担当の森蔭です。
 このコラムも2021年度の最終回となりました。今年度のISM生の大学受験は、明日3月22日の三重大学・後期日程の発表をもって終了します。今回の大学受験でも受験生は様々な事態に見舞われて、その体も心も大いに振り回されました。それでも彼らはそれを誰のせいにもせず、常に自らと向き合い苦境を乗り越えようとしてきました。昨年の9月までISM高校部でアシスタント・アドバイザーをつとめていただいた寺田光輝さんが、私との最後の対談で「受験生にもプロはいるんですね。ISMの受験生はプロですよ。」と語ってくれました。私はあれからずっとその言葉の意味をかみしめるように受験生と向き合ってきました。
 今年でプロ37年目のシーズンをむかえたサッカー選手の三浦知良さんが、今シーズンから三重県鈴鹿市を本拠地とするJFLの鈴鹿ポイントゲッターズに加入しました。三浦知良さんといえば、『KING KAZU』の愛称で呼ばれる文字通りサッカー界のレジェンドです。55歳で現役のプロサッカー選手をつづける姿勢は、世界中からの敬意と賞賛をうけています。そのカズさんが先日、四日市中央緑地公園サッカー場で今シーズンの初戦をむかえました。当日はJFL史上最高の4620名の観客がカズさんの雄姿見たさに駆けつけました。私も試合開始の3時間前から列に並び参戦しました。「プロとは何ぞや。」をこの目で見たかったからです。そして、本当に多くのことに気づかされました。
 試合開始の1時間前に誰よりも早くカズさんはピッチに現れ、自らのコンディションを確認するかのように黙々と基礎練習を始めました。遅れて他のチームメイトの練習が始まり、全体練習が終わってもカズさんは最後までピッチに残って練習で荒れたグラウンドの土を足で丁寧に整地していました。試合前の整列でも誰よりも大きな声でキックオフのカウントダウンをして仲間の闘志を鼓舞していました。試合中もチーム全体に目をやり自分の役割に徹し、決して無理をすることなく今の自分より少しだけ上の自分のプレーを心がけているようでした。後半開始後20分で自ら選手交代の意思表示をしてピッチを降りてベンチに下がりました。ベンチでは一週間後の試合に備えてすぐにスパイクを脱ぎ、アイシングを始めました。その直後に試合は引水タイム入りましたが、カズさんはすぐさま氷水の中から足を出し脱いだばかりのスパイクに濡れたままの足をつっこんで、ピッチにいるチームメイトの側に駆け寄っていきました。試合後は私たち観客の目を見ながら一人でも多くの人たちに感謝の意を伝えるように手を振り続けていました。
 私はカズさんを見ながら、その姿をISMの子どもたちの姿と重ねていました。自分自身と向き合うことが一番しんどいことであるにもかかわらず、そこから逃げようとしない。自分が少しでも成長するために目の前の小さなことをおろそかにしないで今の自分より少しだけ上の自分を目指す。そして、自分が戦えていることの意味を理解して常に周りを気遣い感謝の姿勢を忘れない。寺田さんの言葉が腑に落ちた瞬間でした。思えばこれこそが、ISMの文化なのかもしれません。だからこそ卒業後も多くの先輩がここを訪れ、後輩たちに何かを残そうとしてくれているのだと思います。
 大学受験生のみなさん。そしてISMを卒業してもいまだに私たちを支えつづけてくれる卒業生のみなさん。本当にありがとうございます。ISMはあなたたちがつくってきた文化そのものです。私たちはこの文化が途絶えることなく、さらに発展するようにこれからも少しだけ上を目指して歩んでいきたいと思います。そして、ISMの文化が損なわれていないか、発展しているかを確認するためにも、またここを訪れてください。お待ちしています。
「僕のサッカー人生だけに限らない。日本サッカーも、あなたの人生も同じだ。成功や挫折に必要以上に一喜一憂せず、日々の努力を積み重ね、小さなことにも精いっぱい取り組みつづけた先に、輝かしい未来が待っている。(三浦知良)」

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