講師ブログ
2018年4月9日
狂愚
こんにちは、高校数学担当の森蔭です。
今日は県立高校の入学式・始業式です。ISM高校部でも今日から新年度のライヴ授業が開講します。新高校1年生や4月から入塾した新高校2年生・3年生、ISMにもたくさんの同志が加わりました。皆それぞれの夢と志を持って高校生活や大学受験に挑もうとしています。明るく、それでいて引き締まった顔つきです。
私にも夢があります。この仕事を始めてから二十余年変わることなく持ち続けている夢です。私が数学講師になって間もない頃、ある生徒が友人と次のような会話をしているのをたまたま耳にしました。「森蔭先生、いつもむっちゃ勉強してるよな。俺、なんか分かるねん。俺もがんばるわ。」。その言葉を聞いて、私の仕事は自分自身が学ぶ姿勢を子どもたちに伝えることだと認識させられました。そのとき思い浮かんだのが吉田松陰でした。自らが学ぶ姿勢を見せることで門下生にその志を伝え、その後の日本を背負う多くの人材を輩出したその人です。それ以来私の夢は「松下村塾のような塾をつくること」で、今は「ISMを松下村塾のような塾にすること」です。
その吉田松陰は多くの言葉を残していますが、次の言葉を夢に挑むこどもたちに贈りたいと思います。
狂愚誠可愛 才良誠可虞
狂常鋭進取 愚常疎避趨
才多機變士 良多郷原徒
流俗多顚倒 目人古今殊
才良非才良 狂愚豈狂愚
狂愚は誠に愛すべきもので、才良は誠に恐るべきものだ。
狂人は常に鋭く新しいものに取り組み、
愚者はどんな危機からも逃げよう としない。
才人には変わり者が多く、良識者には八方美人も多い。
世俗の評判はしばしば転倒するものだと、古今の人々を見て殊更に思う。
才良など本当は才良などではない。一体、狂愚の何が狂愚なのだろうか。
今、皆が描く夢や希望が日常の垢にまみれていつの間にか風化してしまったり、くだらなく思えてきたりすることがあるかもしれません。それが大人になることだとどこかで諦めてしまいそうになるかもしれません。私にも経験があります。そんなとき、吉田松陰のこの言葉が背中を押してくれました。才良になどならなくていい、狂愚だと罵られてもいい、自らが立てた志に正直に向き合い努力すればいい、それこそが人の生きる道だと松陰先生は言っています。
挫けそうになったとき、私にはいつも松陰先生のあの声「諸君、狂いたまえ。」が聞こえてきます。私も頑張ります。だから皆も一緒に頑張りましょう。