進学塾ism

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講師ブログ

 こんにちは,高校数学担当の森蔭です。
早いもので,どの高校でも中間テストが行われ,そろそろ成績が返却されます。高校3年生は,GWに受験した第1回全統マーク模試の結果が返却され,つづいて6月末には,記述模試の結果も返却されてきます。どの学年も今年はじめての評価が下る時期です。
最初から思うような評価を得られるほど,高校の勉強・大学受験の勉強は甘いものではありません。その評価が,それまでの自分の「常識」では考えられないようなものとなる人も少なくはないでしょう。
しかし,そもそも「常識」とは何なのでしょうか。
アルベルト・アインシュタインは,「常識とは,18歳までに集めた偏見のコレクションである。」と言いました。
宿題は何よりも優先すべき,学校の勉強は予習が大切,高校の数学は難しい,定期テストでは○○点はとれて当たり前,大学入試の模擬試験では最初はこのくらいしかとれない,どれもこれもどこかで聞いたことのある,いわゆる「常識」です。しかし,これらは本当に疑問の余地のないものなのでしょうか。
確かに,どんな事でも学習の初期段階ではそのルール(常識)を学び,共通認識を得ることは必要です。しかし,その後はむしろあらゆるものに疑問をもつべきです。何のためにそれをする必要があるのか,どうしてそのような結果になったのか,自分はどこへ進みたいのか,それは本当に正しいのか,ということに疑問をもつべきです。ときには私たち教師のいうことでさえも疑問を持つできなのです。その姿勢が偏見を壊し,前へ進む原動力を与えてくれるのだと思います。
私は,大学受験は生き方を学ぶ場であると考えています。現状に満足せず,自らに疑問を持ち,そのために悩み,苦しみながら少しずつ前へ進む。それこそが生き方の勉強だと私は信じています。さもなければ,受験とは全く無意味な,不毛なものになってしまいます。
昨日の日曜日に第80回東京優駿(日本ダービー)が行われました。名馬インディペンデント号の子である,キズナ号が優勝し,2億円の賞金を獲得しました。その賞金額もさることながら,レースの内容は正にそれまでの「常識」が覆されるものでした。
キズナ号はレーススタート当初,18頭いる馬のうち後ろから3~4頭目の位置につけます。その後も位置を上げることなく,ゴールまで残り600mとなっても密集の中から外へ出ようとはしませんでした。しかし,残り400mの地点で自分の前に隙間ができるやいなや,そこから一気に前へと飛び出し,十数頭を抜き去り鮮やかな優勝を決めたのです。
2400m,わずか2~3分で結果の出る勝負で,さまざまな「常識」の渦巻く中,それにとらわれず自らの走りを貫いたキズナ号には勇気をもらいました。
自分の現在置を見極めることは,どんなことにおいても大切です。しかし,そのことと自分の位置を決めつけることとは別のことです。「あなたたちは,本当はどうありたいと思っているのですか?」,「うまくいかないことを他人のせいにはしていませんか?」,そして,「本当に疑問をもって生きていますか」。
私は,昨日のキズナ号の走りを見たとき,あなたたち大勢が走る姿と重なりました。あなたたちのレースはまだ始まったばかりです。勝負はまだまだこれからです。だからこそ,一瞬の隙間を見逃さない集中力で自分たちの走りを楽しむのです。

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