進学塾ism

お知らせ/コラム

講師ブログ

  新年明けましておめでとうございます。高校数学担当の森蔭です。
 1年は早いもので、とうとう年が明けました。高校3年生は今週末のセンター試験を皮切りに、私立大一般入試、国公立大2次試験と入試本番に突入していきます。ISMでも高校3年生の表情から臨戦体制が窺えます。
 昨年の暮れに祖父が他界しました。葬儀で住職の背中越しに祖父の遺影を見つめながら、人の生のはかなさと同時に不確かさを感じずにはいられませんでした。受験も同じです。絶対に受かる確信など、どの子どもも持ってはいません。しかしそれを内に秘めて、その不確かなものに挑んでいくのです。身の引き締まる思いです。
 試験といえば、昨年の大晦日にウチの小学4年生の息子にも一足早く1年を締めくくる試験がありました。私たち家族は毎年、大晦日と元旦を父母の住む志摩市で過ごします。誕生日が12月16日である息子はそこで久しぶりに会うおじいちゃんに、誕生日とクリスマスと正月の祝いを一気にもらいます。今回のお目当てはサッカースペイン代表の8番のユニホームでした。しかし今回はいつもと違い、それをもらうためにはおじいちゃんの前でリフティング100回を披露しなければなりません。その試験の合格が条件でした。しかし当日に色々なアクシデントがあり、おじいちゃんの帰る時刻が夜になってしまうことになりました。夜ではボールが見えずうまく蹴れません。そこで息子は、「お父さん、代わりに見てください。」と、私に試験官の代行を頼んできました。息子がリフティングの練習を始めて半年が経ちます。コツコツすることの苦手な息子が雨の日を除いてほとんど毎朝ボールを蹴り続けてきました。それでも不器用なのでなかなかうまくいかず半年経っても100回に到達できずにきました。正直、駄目でも祝いはあげようと考えていましたが、息子は本気でした。
 試験が始まったのは夕暮れ近くの午後5時過ぎ。誰もいない神明小学校のグラウンドで息子はたったひとりでボールを蹴りはじめました。ポン、ポンというボールを蹴る音が校舎に反響します。2・3度失敗した後、蹴ったボールにうまくバックスピンがかかり始めました。その瞬間息子の表情が変わりました。今までに見たことのない勇敢な顔つきでボールを見つめています。結果は104回で試験に合格しました。最後にボールを高く蹴り上げ、手をいっぱいに広げて、少し離れて見ていた私のところに走り寄ってきた笑顔は冬の花火のようでした。その日の娘と私の交換日記に次のように書かれていました。「おとうさん。お兄ちゃん、りふてぃんぐ104回できてよかったね。おとうさん。おにいちゃんはがんばったとおもう?はなはそうおもうよ。」
  試験の結果ほど不確かなものはありません。しかし、そこに至る日々の努力ほど確かなものはありません。何よりその確かさが勇気を与えてくれるのです。
 息子の今年の抱負は、「満足するな(サッカー日本代表主将・中澤佑二の言葉)」だそうです。今年も夢に向けて努力の日々が続きます。

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