進学塾ism

お知らせ/コラム

講師ブログ

 こんにちは、高校数学担当の森蔭です。
早いものでもう9月です。2学期がスタートしました。高校3年生は,早々に模擬試験が行われたり,推薦入試の話が本格化したりと受験モードが加速しています。
昨日9月11日はあの大震災の発生から6ヶ月であるとともに,世界の富の象徴であるツインタワーが倒壊してから10年の日でした。どちらの災いにもその背後に「核」の影が見えます。「核」は戦時のみならず平時にでも我々の生活を脅かします。それとどう向き合うのかということが今を生きる我々に課された宿題であることに,改めて思い返らされました。
「核」というと思い起こすのが,それが初めて世界政治のひのきぶたいに上がった「マンハッタン計画」です。第二次世界大戦中の1945年,時のアメリカ大統領ルーズベルトが,ナチスによる核連鎖反応の軍事利用を恐れ,それに先立って核兵器(原子爆弾)の開発・実験を行った計画です。その後,日本は悲しい運命を背負わされることになります。そして何より注目すべきは,この計画をルーズベルトに進言した人物のひとりがアルベルト・アインシュタインだということです。アインシュタインが進言の後この計画から一切手を引き,逆にアメリカ政府から危険視されることになった事実からも,その後の政治が彼の思惑とは全く違った方向に動いていったことは想像に難くありません。
学問と政治(人々の生活)は時として密接に絡み合う瞬間があります。それは互いに想像もしなかった時期に,想像もしなかった形で,想像もしなかったであろう方向に向かうものです。だからこそ学問をする者はその危機感と責任をもたなければなりません。自らが学んだ教養が人々の生活に影響を与えるという認識をもって行動しなければなりません。もちろんこのことはこれから大学に進学する人にも,それを援助する我々にも言えることです。
アインシュタインも亡くなる一週間前に,哲学者のバートランド・ラッセルとともに核廃絶の宣言文(ラッセル=アインシュタイン宣言)を出しました。彼の責任の取り方だったのかもしれません。
これから学問を続けていく人たちへ,「人々が自分たちの衝動を正当化しようとしているイズム(主義)なるものは,本当のことを言えば,かれらが正当化したつもりになっている衝動の産物なのです。」というラッセルの言葉を自戒の念を込めて贈りたいと思います。

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