講師ブログ
2016年9月16日
目標設定
こんにちは、高校英語を担当している磯和です。
夏休みも終わり、高校3年生にとっては受験に向かう最も重要な時期に突入
しました。先日返却された第二回マーク模試と、来月に返却される記述摸験
の結果で夏までの成果と今後の課題が浮かび上がってきます。志望校の
判定に一喜一憂したり、思い悩んだりする人もいるでしょう。しかし、頭の中
でネガティブな思考をしても、そこから得るものは何一つありません。肝心な
のはこの結果に基づき、今何をすべきか冷静に課題を見出す。そして、いつ
までに何をどれだけやるのかという目標を設定し、優先順位をつけた学習
習慣を送ることです。何の反省もなくこれまで通りの学習を続けていても思っ
たほどの成果をあげることは難しいのです。具体的にどうすればいいのか。
ラグビー日本代表のメンタルコーチで快進撃の影の功労者、荒木香織さんの
目標の立て方についての考え方がヒントになると思います。
①少し頑張ればできる目標を設定する
「目標は高い方がいい」よくそう言われます。しかし、自分の能力や現状を
無視しても、達成できないばかりか、自信を喪失し、モチベーションを失う
こともあります。「少し頑張ればできる」。スポーツ心理学では、そういう
目標設定をするのが一番適切だとされています。いまの自分にはちょっと
高いかもしれないけれど、その実現に向けて前向きに取り組む。
その結果、達成したことが自信となり、そこからはじめて次のステップに
進むことができるということが研究で明らかになっているのです。
②絶対に達成できる目標を設定する
失敗を恐れる人が多いのは揚げた目標が現実的ではないからという場合
があります。特に、アスリートの場合、目標は監督やコーチから、つまり
他人から与えられたものであることが多い。アスリートでなくても、親や
先生から「これを目指しなさい」と言われることは少なくないはずです。
選手は言われた目標が達成不可能だとは思いません。だから、失敗する
と、それは自分の能力が足らないから、低いからだと思いこんでしまう。
その結果、自信を失い、モチベーションも下がってしまうのです。そんな人
に必要なのは、「どんな小さくてもいいから、達成感を感じること」。
そうすれば自信がつき、自分の価値を感じられるようになります。
人は成功を体験し、達成感を得ることで意欲が湧いてきます。
そのためには、あえて絶対にクリアできる目標を設定し、それを連続して
いくことが必要です。
③期限のない目標は立てない
期限を切ること。「いつまでに達成する」と明確にしておくことです。
これがないと、目標とは言えません。締切や期限がなければ動こうとしない
という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
④目標を立てすきない
一番大切なのは、揚げた目標を達成することです。たくさん立てた目標
を、実際に達成しているかといえば、実はそういう人はとても少ないのです。
小学生のころから「夏休みの宿題は計画通りにやりなさい」とか「今月中に
掛け算のドリルを終わりにすること」というふうに、他人に目標を設定されて
やってきたから、自分のキャパシティを理解しないまま目標ばかりたくさん立
てる。その結果、達成できなくて、焦ったり、「自分はダメだ」と思い込んだり、
あきらめたりしてしまう人が、けっこういるのです。
いくらたくさん目標を立てても、身体はひとつだし、時間は一日二十四時間
しかありません。それならば、そんなに目標ばかり立てずに、本当に必要なもの
だけに絞ったほうがいい。そうすれば、焦らなくてもよくなる。結果として、
目標を達成する可能性も高くなるはずなのです。つまり、ときには引き算
も必要だということです。「やめることの大切さ」。そこに気づいていない人は、
意外に多いのではないでしょうか。
スポーツと勉強は同じものではないにしても、目標を立て、達成するという
プロセスは同じです。荒木さんの目標設定の考え方は受験生にとっても得る
ことが多いものだと思います。例えば、伸び悩んでいる教科や苦手教科
の場合、その教科を勉強しようという意欲は湧きません。だからといっ避けて
いては現状のままです。まず今の自分は何であればできるのかを「自分」で
決める。他人に目標を決めてもらうようなことはやめるべきです。というのも、
他人が決めた目標は受動的な目標なので、目標達成に対する思いが入り
ません。従って実現できないことが多いのではないでしょうか。「自分」で
決めた目標を一つ一つ達成できれば必ず自信ややる気が芽生え、学習の
好循環がもたらされるはずです。
他人が目標を設定するのではなく、「自分」で目標設定をすること。その際、
非現実的なものではなく、自分がきちんと行動に移すことができる目標を
たてること。これこそ荒木さんの目標の立て方の中で最も大切な部分だと
思います。自分のことは自分が一番よく分かっているわけですから。
これから忙しい日々が続きます。定期試験だけでなく模擬試験も頻繁に
実施されます。さらには公募推薦入試の準備を始めなければいけない人
もいるでしょう。2学期は思ったほど自分が思うように使える時間は多くない
のです。ですから、現状をよく理解し、残された期間を有効に使うためにも、
今自分がどういう勉強をすべきか自己分析してほしいです。
志望大学合格に向け、今何をすべきかを目標を明確にし、自己の可能性
を信じ、積極的に挑んでみてください。主体性の芽生えこそ、受験勉強を
通して得る大きな収穫です。