講師ブログ
2016年11月10日
錯覚
小中部の世古です。
11月に入り、ますます気温も下がり冬を感じるようになってきました。特に、朝晩の冷え込みに体調を崩しがちな時期ですので、体調管理に十分気を付けてください。
あるテレビ番組で、芥川賞を受賞した作家でもあるお笑い芸人の又吉直樹さんが、読書を楽しむためには、一度自分で本を書いてみることだとおっしゃっていました。
又吉さんは、子どもの頃から多くの書物を読んできているので、ある時、自分でも書けるのではないかと筆をとってみたものの、書き出しさえもままならず結局書くことができなかったというのです。それからは、本の構成や表現など今まで気にしていなかったことにも注目して本を読むようになり、より一層読書を楽しめるようになったということです。
秋になると、読書の秋といって、毎年多くの場面で読書に関するお話に出会いますが、書いてみることを薦めていたのは初めてだったので、目から鱗というか、非常に得心がいくお話しでした。但し今まで読書をしていない人にはあまり効果はないだろうとも思いましたが。
しかし、それよりも私が共感したのは、本を読んでいくうちに自分にも書けるのではないかと錯覚したところです。
最近、子どもたちにこんな悩みをぶつけられました。「勉強しているのにテストで点数がとれない。」と。それに対し、「勉強した時間や量だけで理解したつもりにならず、自分の記憶と理解の確かめが何よりも必要だ。」と話したばかりだったので、又吉さんとその子どもたちが重なり、余計に興味の持てたお話でした。
今や情報収集ツールが豊富で、多くの分野において優れた人や技術、作品に学ぶ機会が多いので、このような錯覚は、何事にも共通して起こりがちだと思います。しかし、本当の力は、実践練習していくことでしか得られません。しかも自分に厳しく、そして求める満足度は高く。とは言っても、神経質になりすぎる必要はありませんが、やはり過信することは危険です。何に対しても、自分の力をきちんと把握することから始めないといけませんね。