進学塾ism

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講師ブログ

 こんにちは,高校数学担当の森蔭です。
 今日で大学入試センター試験までちょうど2ヶ月となりました。また,大学の推薦入試を数日後に控えている受験生もいます。ISMでもここ数日の高校3年生の姿勢に変化が見受けられるようになってきました。ここからは自分と誰かとの比較ではなく、昨日の自分を超えられるかどうかの勝負です。今の自分に不安を抱えながらも自分自身と必死で向き合おうとしている彼らの姿は、私の目にはとても逞しく映ります。高校3年生の皆さん,あなたたちは間違いなく成長していますよ。
 先日,嵐の桜井翔さん主演の「先に生まれただけの僕」というドラマを見ました。このドラマは普通の学園ドラマと違って,教師と生徒の愛情を描くのではなく教師の立場に立って「大人は子どもたちに何を教えるべきか」が大きなテーマになっています。その回は「高校での勉強が人生において何の役に立つのか」ということがテーマになっていました。桜井さん演じる先生が,数学の授業中に「関数や微分積分は社会で役に立ちますか?」という質問を生徒から投げかけられますが、的確に答えることができません。その後,本気で「数学の勉強が人生において何の役に立つのか」を考え,最後にその質問に答えます。
 その答えは次のような内容でした。
「数学は社会人になっても役に立つ。数学は答えにたどり着く道筋を探すこと。数学を学ぶことで判断力が鍛えられる。判断力が身につけば,社会に出てからも騙されず正しい判断ができる。」
 確かに数学は高度な論理体系です。その意味で先の答えの内容は誤っていません。ただ,生徒たちはそういうことを答えて欲しかったのでしょうか。そもそも生徒たちは数学の論理性など端から承知の上で,数学を学ぶことの意味,ひいては生きることの意味を聞いていたのではないでしょうか。
 心理学者のフランクルは「生きる意味についての問い」に対して次のように答えます。
「人生が人間へ問いを発してきている。したがって人間は人生の意味を問い求める必要はない。人間はむしろ人生から問い求められている者なのであって,人生に答えなくてはならない。人生に責任を持って答えなくてはならない。」
 私はフランクルのこの言葉から,「どんな時も人生には意味がある。問いに答えるべきという意味が与えられている。そしてその責任を一つひとつ果たしていくことにより,人は成長していくものである。」と感じています。だから,数学を学ぶことの意味は誰かに求めるのではなく,それぞれの人が数学と向き合い,それに対してどう答えるかを考え実践するべきなのです。
 したがって,私の場合,先の質問に答えるならば,「数学を学ぶことが社会で役に立つかどうかは個々人の問題であって私にはわからない。ただ,それが必要かどうかを問われれば,必要である。なぜなら,数学を含め人生からのさまざまな問いに答えることこそが私たちの生きる意味だからである。」となります。
 今、高校3年生は、自らの人生からの問いかけに必死に答えようとしています。だからこそ私はもう一度言います。
 「あなたたちは間違いなく成長していますよ。」

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